生前対策

生前対策と相続対策の重要性

相続に備えるためには、生前からしっかりと対策を講じることが重要です。生前対策は、争族(相続に伴う家族間の争い)の防止、納税資金の確保、節税、そして安定した収入の確保という4つに分類されます。その中でも、遺言書の作成、贈与、認知症対策の家族信託などが具体的な手段として挙げられます。
西東京市では、2026年8月1日時点の65歳以上人口が51,492人(24.7%)、75歳以上人口が29,942人(14.4%)(※1)です。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、市の65歳以上人口は2050年に67,533人(※2)となる見込みです。さらに、2023年10月1日時点の持ち家世帯は52,140世帯(持ち家率53.6%)(※3)となっています。こうした地域の状況も踏まえ、相続が始まってから慌てるのではなく、財産の分け方や管理方法を生前から整理しておくことが大切です。

※1西東京市「令和8年8月1日現在人口」より
※2国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」より
※3 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」より
今回は、生前対策の一環として「贈与」に焦点を当てて解説します。
生前贈与は、相続税対策として有効な手段です。贈与を行う際には証拠をしっかりと残すことが鉄則です。以下に、生前贈与を実行する際のポイントを説明します。
なお、東京都全体では、2024年分の相続税の課税割合は20.0%とされています(東京国税局「相続税申告事績」)。これは西東京市単独の割合ではありませんが、贈与を相続税対策として検討する場合は、税額だけでなく、遺産総額や家族構成、贈与後の生活資金まで含めて考えることが重要です。

1.贈与の証拠を残す

贈与契約書の作成
贈与は、あげる人ともらう人の間で成立する契約です。後から贈与の事実を確認できるよう、贈与契約書を作成し、双方の署名・捺印を行いましょう。

名義変更と所有権移転
名義を変更し、所有権の移転を証拠として残すことが重要です。これにより、後に名義借りではなく、実際の贈与であったことを証明できます。

2.金融資産の贈与における注意点

銀行口座を利用した贈与
金銭を贈与する場合には、贈与者本人の口座から受贈者本人の口座へ振り込むなど、資金の移動が確認できる方法を利用すると、贈与の事実を記録として残すことができます。受贈者は自己名義の口座を作成しておくことが重要です。
通帳や印鑑の管理:受贈者またはその親権者が通帳や印鑑を管理し、贈与者のものと区別しておきます。

贈与税の申告
暦年課税では、原則として1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円を超える場合、贈与税の申告が必要です。
相続時精算課税についても年間110万円の基礎控除が設けられていますが、制度を初めて選択する場合には「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。適用する特例などによって申告の要否が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

3.名義預金などに要注意

子や孫の名義の預金であっても、実際には親や祖父母がお金を出し、通帳や印鑑を管理している場合には、親や祖父母の財産と判断され、相続税の対象となることがあります。
生前贈与を行う場合は、名義を変えるだけでなく、贈る側ともらう側の双方が贈与について理解・合意し、贈与後はもらった人が自分でその財産を管理できるようにしておくことが大切です。

生前対策の具体的手段

遺言書の作成
遺言書は、相続における争いを防ぎ、自分の意思を確実に伝えるための有効な手段です。遺言書を作成することで、財産の分配や特定の相続人への指定を明確にできます。

認知症対策の家族信託
認知症になった場合に備えて、家族信託を活用することで、財産の管理を家族に託すことができます。これにより、認知症による財産管理の問題を未然に防ぎます。

贈与税の新しいルールとその影響

令和6年1月1日以後の贈与から、暦年課税による生前贈与の加算対象期間や相続時精算課税制度が改正されています。詳しくは国税庁のHP(令和6年分の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変わります!)を参照ください。

1.暦年課税制度の更新

暦年課税制度における生前贈与加算の対象期間が、これまでの3年間から7年間に延長されました。つまり、相続が始まる前の7年間にされた贈与は、相続税の計算に加えられることになります。(完全に7年間となるのは2031年1月1日以後に開始する相続です。)

2.延長された期間における100万円の控除

相続開始前3年より前の贈与については、その期間に受けた贈与の合計額から100万円を差し引いた金額が、相続税の計算に加算されます。

3.相続時精算課税制度が利用しやすくなりました

令和6年1月1日以後の贈与から、年間110万円までの基礎控除が新設されました。年間110万円を超える贈与についても、超えた部分は累計2,500万円まで特別控除の対象となり、2,500万円を超えた部分には原則20%の贈与税がかかります。
今回の改正では、生前贈与の加算対象期間の延長や新たな基礎控除の設定など、さまざまな変更が行われました。これにより、どの制度を使うか、またいつ贈与を行うかが、節税戦略において重要な要素となります。自身の贈与や相続計画について考える際は、専門家の意見を参考にすることをお勧めします。

生前対策のポイント

早期実行
生前贈与を早期に実行し、生前贈与加算の対象とならないようにすることが重要です。

贈与の対象者の選定
生前贈与した財産が相続税の計算に加えられるかどうかは、贈与を受けた人が相続時に財産を取得するかなどによって異なります。子や孫だからと一律に判断せず、将来の相続まで考えて贈与することが大切です。

贈与と老後資金のバランス
節税は重要ですが、老後資金の確保も忘れずに、余裕資金の範囲で贈与を行います。

生前対策で安心な未来を準備しよう

生前対策は、自分の財産をどのように管理・分配するかを事前に決定し、相続に関するトラブルを未然に防ぐための重要なステップです。贈与、遺言書の作成、家族信託などを活用し、安心して未来を迎えるための準備を進めましょう。専門家に相談しながら、最適な対策を講じることをお勧めします。

出典

たなし 相続税・贈与税相談プラザ|無料相談申込
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